これはもしかすると、受験生が思いつきにくいであろう発想に対するヒントだったのかもしれませんね。
現実を見てみれば分かるように、研究者のモラルは余り期待できるものではありません。研究の成功・営利・名誉等々の誘惑に負けてしまう研究者は珍しくもなんともないのですから。
とすると、ただでさえ危険性の高い遺伝子臨床研究を、研究者に任せて放任してしまえば良いという発想は「受験生が当然に思いつくべきもの」ではないように感じます。
ただ、大半の受験生が思いつけないような問題を出してしまうと、たまたま思いつけたかどうかで点数が大きく動いてしまうので、実力を測るための問題としては不適切です。そこで、上記のような記載をヒントとして入れることで解決したのかなと。
具体的には、例えば手段審査をする際に、大学側は研究者のモラルを信じない立場に基づいて規制の必要性を強調し、X教授側は問題文にあるように「研究者の自主性や倫理観を尊重した柔軟な規制の形態が望ましい」という立場から規制の不必要性を強調することで、意見を対立させれば良かったのかな、と。同じ「必要最小限」という基準を使うにしても、その必要性の認定次第で結論が動く訳ですし。
【関連する記事】